あの人と食べたあの時の料理が忘れられない。
そんな大切な思いでがあなたにはあるでしょう。
その中でも、美味しさが忘れられないものを思い出してみてください。それはなぜ美味しかったのでしょうか?
私はもう計算できないくらい、大勢の方と料理を一緒に作り、一緒に食べてきました。同じ料理人であっても、料理屋さんではあり得ない光景ですね。
実は私にとって、美味しさが忘れられない料理のいくつかは講座で作った料理です。プロが作った訳でも、店で食べる商品でも無い物がなぜ美味しいのか?
理由を一つお教えしますが、それは緊張感です。
皆さんは、普段緊張して料理を作る事がどれだけありますか?
私の講座では、(途中は"ふふふん"のノリでも)最期は美味しい物を食べてやろう!そんな空気がみなぎっています。そして材料と作り方が見えているので嘘はつけません。やり直しが利かないうえに、相手はプロの料理人ではありません、子どもの事もあります。
それでも美味しい物を体験していただくという意気込み。
参加者は普段と違う手順に戸惑い、見られたことが無い包丁さばに注目される。
そこに生まれる集中力、ということです。
指導する方も、作る方もこんなムードの中で、出来た料理が美味しくないはずがありません。
もちろん中には集中できないかたもいらっしゃいますが、それはそれだけの自己満足です。
ところで本日の講座は「手が出るサンドイッチ」ということで、材料のこと、作り方含めて全て正直にお話しました。
「今回作るサンドイッチは手間がかかります。その理由を考えないで面倒くさいと思われるかたは、大量安価に出回っているものを買って食べるほうがずっと楽で、きっと食べ慣れた味付けで美味しく感じるでしょう。
・・としたら、大量加工品に含まれているモノも含めて肯定してください。」と。
「作るのは面倒で料理に時間を使いたくない」
「便利に買ったものに含まれる不安なものは許さない」
両方は求められない理由を作って知ってもらうこと。
今日のサンドイッチが美味しかったら、不安な添加物も、濃い味付けの調味料も不要。ということを舌で納得していただくこと。
これらによって家庭でも食事の作り手の心得について今一度考えてみて欲しいのです。
「工夫」は手抜きや言い訳のためにあるのでははく、難しいものを面倒に感じないようにするためにあるものです。
なぜの理由が解れば自然と身についていくものと思います。