2018年3月19日月曜日

妙高 生味噌(KI-MISO)プロジェクト「経済循環と顔の見える関係を地域ぐるみで復活!」

(現状)

  • 市内では数店となってしまった老舗の糀屋=味噌屋(姫の森糀店、太田醸造所、竹内糀店等)だが、かつては城戸(姫川原)、大森(白山町)はじめ多くの糀屋があった
  • 農家は自分で育てた米を提供したり、代々受け継いできた大豆を近くの味噌屋に持ち込んで、味噌を作ってもらっていた(物々交換の場合もある)。豆を煮上げて麹や塩と混ぜた、未発酵の「仕込み味噌」を家まで運んでもらい、樽に詰め発酵熟成させた(地域内循環・顔の見える関係)。JAの「仕込み味噌」は袋詰や樽で購入し家で発酵させる。家で発酵させると樽や熟成の環境により家の味となる。現在は少人数世帯が増加したため味噌を仕込む家は減少した。
  • スーパーなどに並ぶ小分けの味噌は効率重視(大量生産、安い原料、流通の効率化、時短発酵、加熱処理による安定化等)で低価格のものが主流。加工食品に利用する味噌の多くはこれらによる。
  • 非加熱の味噌(生味噌)は菌が活性化しているため、温度による影響が顕著で、そのような商品を店に並べる場合は要冷蔵となる。
  • これらにより全体として、一般の方が口にする味噌(加工品含め)の殆どは工場生産で均質化されたものと考えられる。毎日消費されている味噌の原料が遺伝子組換えの輸入のものであったり、市外県外のものである可能性も高く、それぞれの家庭の味が失われてきていると考えられる。

(自家製の味噌作り)

  • かつて多くの農家は家で味噌を作った。豆を柔らかく煮て麹や塩と混ぜ、樽に詰める仕込み作業を「味噌煮」と呼ぶ。農作業の合間の秋仕込と春仕込があり、味噌煮はそれぞれの家のやり方がある(味噌煮が終わると「春山越えた」と言う)。
  • 一夏を越すと発酵が進み食べられるが、2年〜3年継続して発酵させるのは自由賞味期限はない。長期熟成は塩が枯れ、渋みが増し色が濃くなる。
  • 味噌屋は減ったが、家で豆を煮て、購入した塩と麹を混ぜて作る家庭はまだ存在する。集落の共同活動で味噌作り(麹作り)をするところもある(大濁や長森、矢代等)。
  • 麹作りはプロの仕事とは限らない。コツを覚えれば家で麹を作ることも十分可能。

(自家製の魅力と多様性)

  • 自家製の麹は「古米の活用」(エコ)や「好みに合わせた発酵度合い」「麹を使った様々な料理や調味料にも惜しげなく利用できる」など良いことづくめ。味噌は、原材料(豆、塩、米麹)の選択や配合、さらには保存方法により味が大きく変化するので、拘りを持った味噌ほど多様で個性的な調味料となる。(手前味噌)
  • 自家製の味噌はわざわざ加熱処理をすることは無いので、自ずと生(なま)味噌である。一番の特徴は香りが良い事。続いて発酵を自然に任せているので味が一定でないことなどがある。

(味噌の楽しみ)

  • 味噌煮は家族(仲間)総出の食のイベントとして仕込む過程も楽しめる。
  • 味噌を樽に詰める際に留め漬け(塩漬け)にしておいた野菜を入れておくと、使っていくうちに味噌漬けが出てくる。味噌自体の味は落ちるが家庭では楽しい保存食となる。
  • 妙高には昆布巻きの味噌漬けという伝統食があるが、料理によってノウハウがあり面白い(茶漬け、油炒め、笹寿しの具など)。

(料理のトレンド)

  • 麹は健康食として注目され発酵食ブームにより、味噌作りのワークショップ(ハートランド妙高等)や甘酒(鮎正宗酒造や太田味噌醸造所等)、塩麹といった食品が幅広い年代にうけ、健康志向のかたに支持されている。
  • 麹を使ったスイーツやご当地カレーといった創作商品もあるが、地元に根ざした食習慣の中に多くのヒントがある(様々な味噌料理)。昔の味噌作りは煮た豆を潰して丸め、玉にした大豆を座敷に藁で吊るし、カビさせて味噌を仕込んだという思い出話を地域の方から聞く。昔の家の造りならではだが、それほど家と食が密着していた。
  • 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産へ「和食」が登録されたが、和食のルーツは地方の郷土料理であり、人々の暮らしや風土と結びつきの強い地方の食こそ次世代のクールに位置づけられるものと考える。

(「身土不二」でSDGs … 持続的な開発提案)

  • 市民参加による農産物生産→米、大豆(可能な限り減塩・オーガニック)で地元業者(団体)が味噌を作る※。→「妙高生味噌(KI-MISO)プロジェクト」(※または、地域運営組織などが受け皿となり、クラウドファンディングやファンドレイジングなど社会が支える仕組みを活用)
  • 妙高生味噌を使用した料理の販売(外食・中食、給食。味噌汁、味噌ラーメン、豚汁、ふき味噌のような嘗め味噌、味噌漬け、魚・肉の味噌漬け…)
  • 味噌を通して、地産地消の経済循環と健康の維持、中山間地の環境保全、食文化の保全・発信、コミュニティ作りを地域ぐるみで支える仕組み(づくり)として発信する。
  • このようなシステムに学校、CCRC、インバウンドを導入する。ソーシャル・キャピタルの育成に繋げる。関連キーワード:「ユネスコスクール」「スマートミール」「SDGs」など。