当地に「華麗舞(かれいまい)」という、ジャポニカ米とインディカ米の性質を掛けあわせた米がある。始めは、某食品メーカーが開発に携わり、キャンペーンを行ったのでご記憶の方もあるかと思う。
その食品メーカーはカレールーを主力商品に持ち、華麗舞は新しいカレーの食べ方を提案しようとしたものだ。
妙高市は日本有数の豪雪地帯で美味しい米の産地でもある。
米農家が多く、その味にはシビアな自己基準を持っているのだが、果たしてこの華麗舞がどこまで多様化した現代の消費者、そして生産者に受け入れられていくのだろうか興味のあるところである。
というのも仕事として幾度と無くメニュー作りに取り組んだこの華麗舞。
素材そのものを活かすこと、そして地域に密着した産品として育てる事の意義と壁に挟まれ、その度現実を見ているのである。
本日、私の母校でもある新井小学校の5年生の授業に招いていただいた。秋に行われる市内の小学校の合同イベントに向けた食品開発に関する、講話と試食会のゲストとしてである。
何度かお邪魔しているこの小学校は、昨年建て替えられ広々として明るい。
旧校舎とは異なるオープンな環境が、想像力を育んでくれそうな雰囲気を醸す。
その、ホールと呼ばれる広間でプロジェクタを使い話をした。
その後、調理実習室に移動。父兄のボランティアも加わり試食品の仕上げ、教室前の共同スペースで試食となった。
話は逆になったが、市内の小学校の合同イベントの名称は「米こめサミット」。
米こめサミットは各学校の5年生が開発した米料理を持ち寄って情報交換をするものらしい。そして、新井小学校はスィーツをテーマに選んだのだという。同小学校は校区の米屋さんの全面サポートを受けながら、妙高市のオリジナリティ溢れる米「華麗舞」を栽培から取り組んで成果を出そうというものだ。
私の講話のテーマは「妙高の素材を活かしたデザートを作ろう」
先ず、宇宙から見た丸い地球の写真からスタートだ。
次にヨーロッパ、アジアの代表的な”米スィーツ”を紹介。
続くは日本である。日本の米のスィーツは? 妙高の米のスィーツは?
と子どもたちに聞くと、「もち」「ケーキ」「パンナコッタ」 ・・
いささかズレているような気もしたが、日本、そして“地域産の材料から派生した甘味(甘いおやつ)“という認識は子どもには理解されにくいようだ。
街場の子ども達にとって、スーパーやコンビニが食料のスタート地点であるとすれば、同列に並んだおやつの産地や文化など理解されなくても当たり前の事なのだろうか。
実は予見事項としてあった「華麗舞」「ミルク炊き」「砂糖」という粥状のものを、どう美味しくアレンジしようか?というお題に対して、私は身の回りの山野にある「大豆、栗、クルミ、柿やイチジク」、そういった素材の提案を喚起するべく、プレゼンを仕込んできたつもりだった。
試食では、何の抵抗もなくスーパーの陳列棚にある、 ジャム類、コンデンスミルク、きなこ、こしあん、ミックスナッツ、ココナッツミルク、コーンフレーク、チョコレート、缶詰の各種フルーツがトッピングとして並んでいたのだが、このいくつかを除いてはまさに周りを見渡せば存在するものである。
私は、喉のそこまで出かかった言葉を飲み込んだ。「・・・・・・。」
それは自ら気づく瞬間の感動や価値を知っているからで、
私はその環境を整えてやる大人の役割を有していると。
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余談になるが、待機する間に通された校長室には歴代の校長の写真が。高野校長、石原校長。私が在校中には”手の届かないほど偉い人”という印象があったお二方の写真を見つけた時には感慨深いものがあった。
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